腰痛について古くはメソポタミアの遺跡から出土された人骨にも腰痛の形跡がありました。人と腰痛の付き合いはかなり長く、二足歩行の宿命とも言われています。背骨は柱のようですが、骨がいくつも連結したもので前後左右に良く動き、ねじれたりもします。また背骨を支える骨盤は2本の足の上に乗っかっていて、重心バランスなどをコントロールするのにとても複雑な構造になっているため、どこかにちょっとしたヒズミが生じただけでも不調の原因となってしまうのです。
昔から腰は体の要と言われますが、腰には3つの重要な役割があります。
・体躯の支持
脊椎が上半身の重さを支えて、骨盤を介して両足に伝えます。
・運動の中心
前後左右など、脊椎全体としてかなりの運動機能があります。
・脊髄という神経の束を保護
脊椎には脊髄という神経の束が入っており、抹消神経として体全体に伸び運動や知覚を伝達しています。
背骨は、解剖学用語では「脊柱」または「脊椎」といいます。人間は206個の骨からなり、それらはバラバラではなく、それぞれがパズルのように組み合わさって構成されています。骨と骨をつなぐ部分を関節といい、2つの骨の間には関節腔とよばれる空間があり、摩擦を和らげ、その向きと範囲を一定にしています。そして、関節をつくる骨のまわりには靭帯がくっついており2つを強く結びつけています。脊椎(背骨)はその構造の違いにより5つの椎に分けられており、頸椎(けいつい)7、胸椎(きょうつい)12、腰椎(ようつい)5、仙骨と尾骨はそれぞれ1つずつの26個で構成されています。脊椎を構成するひとつひとつの骨の前方部分を椎体(ついたい)といいます。椎体と椎体の間には椎間板という軟骨がはさまっており、クッションの役割をしています。背骨は前後にゆるいカーブを描いており、立ったり座ったりしている時に体の重さを支えたり、前後左右に上半身を曲げたり伸ばしたり、ひねったりすることができます。歩いているときには、体の上下運動の衝撃を吸収して、脳へのダメージを防ぐ役割も担っています。
腰回りの筋肉というのは30歳代から老化が始まります。運動不足になるとさらに衰えて姿勢が悪くなります。そうなると姿勢を保とうと筋肉が緊張し、コリや痛みが現れます。痛みがあると筋肉を使わなくなり、そのために筋肉が衰えるという悪循環になります。また、体を動かさないので筋肉の柔軟性が失われることになり、さらに痛みを生じやすくなってしまいます。姿勢の悪い人は、この重心がずれてしまう為に腰の筋肉が常に緊張状態となり腰痛を起こしやすくなるのです。