看護師として総合病院で働いているA美です。北海道で旦那と小学生の子供一人の3人家族で暮らす40代主婦です。
高校卒業後に看護学校に入学し、卒業とともに今の総合病院に就職、9年間病棟看護師として勤務しました。病棟勤務時に結婚しましたが、多忙すぎて体調を崩したので退職、その1年後に某クリニックに就職。ですが、第一子を妊娠し、出産前に退職。子供が1歳の時に元の総合病院にパート看護師として復職、現在4年目となりました。私がこのサイトを立ち上げた理由は、1人でも多くの方に看護師に腰痛が多い現状を知ってもらい、腰痛持ちである自分も何とかしたいと思ったからです。
厚生労働省(以後、厚労省)の調査で、腰痛の人は全国に2800万人いることが分かっています。
腰痛は、日常仕事をしている人にとって、しばしば発生するトラブルです。荷物の積みおろし中に急に腰が痛くなって動けなくなる運輸業の人、患者さんをベッドから移そうとして腰をひねり急に腰の痛くなった看護師、流れ作業で次々に流れてくる部品の組み立てに追われている作業員等、職業にともなう腰痛の発生率は高く、社会的にも大きな問題となっています。そのなかでも看護や介助に従事する人たちの腰痛は、ここ10年で2.4倍に増加しています。
看護師は、女性の職業のなかでも腰痛が多く発生する職種の一つです。自分一人で動くことのできない患者さんをベッドに移動させたり、無理な姿勢で患者さんを抱えあげる作業、腰をねじる作業が多い為、大きな負担が腰にかかり腰痛の原因となります。
こうした状況に対して、厚労省では平成6年に制定した職場における腰痛予防対策指針を19年ぶりに平成25年、新たに改訂しました。ノーリフトを中心にスタッフの労働環境の改善を図り負担軽減を目指しています。ノーリフトとは、押す、持ち上げる、運ぶ等の人力のみによる介助を禁止する運動で、介護リフトやスタンディングマシーン、スライディングシート等、介護機器を使用した移乗介護を義務付けるものです。それによって介助者の腰痛を防ぎ、ケアの質の向上を目指します。このノーリフトという考えは1996年頃から豪州看護連盟が、看護師の腰痛予防のために提言したものです。
厚労省は、介護機器の利用を進めています。ですが、費用負担のため導入が進まなかったり、導入されていても使用されていないという現状があります。主な理由に、準備などを含めて時間がかかること、機器の選定や使用方法が不適切だと効果が表れにくいこと等が上げられます。また、患者さんに直接触れて行う移乗介助や排泄介助などに器械を用いるという抵抗感も少なからず影響しています。
腰痛予防のためには負担軽減に向けた作業環境の整備と、機器を使うことによって得られる介助者と被介助者による双方のメリットを理解して、介助者の意識を切り替えることも非常に重要です。